スタッフブログ
過去の『大きなバスに大きな部品』のブログ冒頭にも書きましたが、フルサイズの大型バスは、長さが約12メートル、幅が約2.5メートル、高さが高いものでは3.8メートルにもなります。
何が言いたいかって?単純に乗用車に比べて
『自由が効かない』んです。
メインでドライバーをしてた頃。終着地に間もなく到着との所でお客様が僕にこう仰られました。
『何でここを曲がらんの?遠回りや』と。
お客様のためにと思って遠回りを承知だった僕にとっては、ショックでしたが。。。ただ、こう回答させていただきました。
『お客様、こちら側を通ればすぐ到着できるのは重々承知しております。しかしながら、ドア位置が反対になりますので、お客様の降車後の安全も考慮した上 で、あ・え・て こちらを通って建物側に到着できるようにしております』と。
終着地となる場所は、敷地内には乗用車は簡単に入れても大型バスはサイズの都合上、入ることは出来ず路上での降車を余儀なくされる場所だったのです。お客様の言う通りに行けば、速いのは間違いなかったのですが、降車された多くのお客様が道路を渡らないといけないという状況になります。
お客様を安全に乗降させるよう考えて走るのもサービスの1つと考えます。
これを読んだそこのアナタ!
バスドライバーは、わざと遠回りしてるわけではないのですよ(笑)
余談になりますが、サービス関係では景色、景観、建物などをお客様に一番良い角度などから見ていただくために、少しだけ回り道することもあります。
あと、ガイドさんの案内に合わせ、案内されている目標物が見えたら徐行するとか・・・
あぁぁ~、自由が効かないという題名からは話が反れましたね(笑)
自由が効かないといえば、交差点の右左折もそうです。
狭い交差点を曲がる際、安全を確認して左ないしは右にやや膨らみ曲がることがあります。
何でこんなことするかといえば、内輪差で内側のタイヤやボディを交差点角にある縁石や塀、電柱や標識などに引っ掛けない為です。
内輪差とは、よく教本やテレビなどで聞きますが車を右左折させる際にできる内側の前輪と内側の後輪の進む軌道のズレのことをいいます。
以下イメージ。
車のハンドルは前輪の動きを操作し後輪は前輪の動きに沿って動きますが、カーブする際は必ず前輪と後輪の軌道にズレが生じるのです。
バスはホイールベース(前輪と後輪の中心の距離)が長いので軌道のズレが大きくなります。故に小回りや乗用車感覚でハンドルを切ると痛い目に遭います。
あと、内側はクリアしても先出の通り、幅が約2.5メートルありますから、左折なら右前に停車している車両などにも注意しなければなりません。
注意しながら通れるならば良いですが、もし右前方に車両やその他障害物があった場合、車両なら少しだけ下がっていただくなどのご協力をしていただくと通ることは可能ですが、塀や電柱、標識など動かないものだったら・・・
通行不可!、、、他のルートを探します。
近くなら、このような事態にならないよう予め下見に行ったりすることもあります。お勉強で言うとこの『予習』ってやつですね。
余談(またかよ!)ですが、僕がバスドライバーってすごいなと思った出来事の中で、この狭い交差点の通過という項目があります。専門学校時代の新入生研修の帰りでした。『まさか~、ここは曲がらないでしょ』と思っていたところを乗っていたバスは、さっさと曲がって行きました。乗っていた他の同級生は『すげぇ・・・』と絶句してました。今でも、この時乗っていた某大手さんの車両を見ると、その時のことを思い出します。
ドライバーになり、同じことをしたらお客様からは拍手が起こり降車時に『運転手さん凄いねー』などと言われた時は正直、嬉しいものでした(笑)
求めてやっている訳ではもちろんありませんが、こういうお声掛けは、ドライバーの栄養になります。
他にも自由が効かない事案は、たくさんあるんですが、一気に語るとネタが無くなりますので、ここで止めます(笑)
またの機会をお楽しみに。
今年は、コロナの規制が緩和方向にあり、金沢市内あたりでも貸切バスが走り、観光客が行き交うコロナ前の日常が戻りつつある気配を感じております。
金沢の市街地は、特に道が狭いですが皆さんどうかご安全に。